ニュース速報が流れた午後、私は手元のマグカップを置いた。テレビ画面に映し出された文字は、あまりにも非現実的で、頭の中が真っ白になる。
「あと5日で、世界が終わる」
多くの人は、家族や愛する人の元へ駆けつけるだろう。会いたい人に会って、感謝の気持ちを伝えるだろう。でも、私はふと考えた。
「人とかかわるのがメインの副業」をしている人は、この状況で何をするのだろうか?
普段、お金のために、そして誰かのためにと、一生懸命働いている人々。その仕事は、この世界の終わりを前にして、どんな意味を持つのか。自分の仕事の本当の価値が問われる時、私たちは何を選択するのだろうか。
一緒に考えてみませんか。
1. 占い師・カウンセラー:お金の向こうにあった「魂の救済」
私の知人に、週末だけタロット占いの副業をしている女性がいる。普段は、恋愛や仕事の悩みを抱えた人々の心を読み解き、そっと背中を押している。
もし、あと5日で世界が終わるとしたら、彼女はきっと、もうお金を受け取らないだろう。
最後の5日間、彼女の元を訪れるのは、きっと「死ぬのが怖い」「人生に後悔している」といった、より根源的な悩みを抱えた人々だ。彼女は、ただ話を聞いてあげるだけで、誰かの心を安らかにすることを選ぶだろう。
「あなたは、あなたのままで、ちゃんと生きていた。それだけで十分なんだよ」
そう言って、一人一人の魂を抱きしめるように、最後のセッションを行うのではないか。彼女にとっての「仕事」は、お金を稼ぐことではなく、誰かの心を支え、安らかに導くこと。世界の終わりは、彼女の仕事の真の目的を、最も純粋な形で顕在化させるだろう。
2. コーチ・コンサルタント:目標の先に見つけた「生きる意味」
オンラインで、個人のキャリアコーチングをしている友人がいる。彼はいつも、クライアントの目標達成をサポートし、その成長を喜んでいる。
もし、世界が終わることを知ったら、彼はクライアントに、こう問いかけるかもしれない。
「あと5日しかない人生で、何を達成したいですか?」
それは、キャリアアップや年収アップといった、これまでの目標とは全く違うものだろう。「やりたかったけど、ずっと後回しにしてきたこと」をリストアップさせ、一つでも行動に移す手伝いをする。
彼は、クライアントの隣に座り、最後の5日間を一緒に伴走する。仕事のゴールが「成功」から「後悔のない生き方」へと変わる瞬間だ。彼の仕事は、人を「目的地」へと導くこと。世界の終わりは、その「目的地」が、お金や地位ではないことを、彼自身にも、クライアントにも教えてくれる。
3. オンラインサロンの運営者:孤独をなくす「最後の居場所」
私が以前参加していたオンラインサロンの運営者。彼は、人と人をつなぎ、居場所を作ることに情熱を燃やしていた。
もし、あと5日で世界が終わるとしたら、彼は迷わず、最後のオンラインイベントを開催するだろう。
テーマは「みんなで語ろう、最後の夜」。一人でいるのが怖い人、誰かと話したい人、みんなが同じ場所に集まる。画面越しでも、声を聞くだけで、人は安らぎを感じられる。
彼は、サロンのメンバーが、お互いに感謝の気持ちを伝え合う場を作る。今まで当たり前だった「繋がり」が、どれだけ尊いものだったかを、みんなが再認識する。彼の仕事は、孤独をなくすこと。世界の終わりは、その使命を、最も強く、純粋な形で果たさせるだろう。
「お金」という動機がなくなった時、私たちの仕事に残るもの
これらの例に共通するのは、「お金のため」という動機が消え、仕事の根源的な目的が剥き出しになるということだ。
- 占いは、人の心を安らかにする行為。
- コーチングは、人の人生に寄り添う行為。
- コミュニティ運営は、孤独をなくす行為。
究極の状況下で、私たちは、自分の仕事の本当の価値に気づく。「仕事」とは、誰かの人生に寄り添い、影響を与えるという、かけがえのない行為だったのだ。
「世界が終わるまで、あと5日」。これは、もしかしたら、「今」という時間をどう生きるか、自分の仕事は何のためであるかを問い直すための、最高のきっかけなのかもしれない。
